「今の10代20代に伝えたいこと」広瀬すずさん、木戸大聖さんが『ゆきてかへらぬ』ティーチインイベントに登壇

ライター　エンタメ取材班相川圭

ゆきてかへらぬティーチインイベント

本サイト既報のとおり、2月21日に公開となる映画『ゆきてかへらぬ』。

『ゆきてかへらぬ』は、実在した女優の長谷川泰子と、詩人の中原中也、文芸評論家の小林秀雄という男女3人の壮絶な愛と青春を描いた作品。
広瀬すずさん演じる泰子と、歪で壮絶な愛憎関係で結ばれていく男ふたりを演じるのが、木戸大聖さん（中原中也役）＆岡田将生さん（小林秀雄役）です。

今回、その公開を記念した本編上映付きティーチインイベントが、福岡県福岡市の西南学院大学で開催され、主演の広瀬さん、木戸さん、そして監督の根岸吉太郎さんが登壇。
イベントには多くの学生も参加し、青春を生きる学生たちと近い年代のキャストたちとのやり取りは白熱し、大いに盛り上がりました。

印象的だったシーンは

広瀬さんは、演じた役柄についての感想を問われ、「泰子さんみたいに正直で人間らしく生きている姿に、うらやましいなと思う部分があったり、かっこいいなって思う部分があったり、自分をちゃんと表現できてる人だと感じました」と、泰子という役へのリスペクトを語りました。

ゆきてかへらぬティーチインイベント

一方、木戸さんは、詩人・中原中也を演じるために山口県の中原中也記念館を訪れたことを明かし、「詩が映画の中に出てくるっていう経験は中々無くて、僕自身が読むシーンがあったので、そのシーンは一番注力しました」と、実在の人物を演じる難しさについて触れました。

監督の根岸さんは、広瀬さんと木戸さんの演技について、「実はこの物語、トータルすると15年間ぐらいの時間経過があるんですよね。登場人物たちも凄く変化していくんですよ。その変化を演じ分けるのはかなり難しい仕事だったと思います。それをよくやりきったなと思います」と絶賛しました。

また、特に印象的だったシーンについて問われると、広瀬さんは「泰子が中也の元を去って小林（岡田）の家に行って、なぜか中也も含めて3人でウイスキーを飲むシーンです」と回答。
「あのシーンはすごいカオスというか、3人の関係性が凄く表れていて、それぞれの目線がめちゃくちゃ面白いことになってるなと思いました」と振り返りました。

木戸さんは「ダンスホールのシーンですかね。あのワンシーンの中に幾つもの感情が入っていて、楽しく踊っていると思ったら突然喧嘩になる。その濃密具合は凄かったですね」と語り、実際の現場がどれほど激しかったかを明かしました。

ゆきてかへらぬティーチインイベント

若い世代へのメッセージ

また、作品のタイトル『ゆきてかへらぬ』にちなみ、自分の青春時代のエピソードや今の10代20代に伝えたいことを尋ねられた広瀬さんは、「14歳からこの仕事をしていて、部活や好きなことを諦めなければならなかった瞬間があった。でも意外と流れに身を任せてみたら、自分だけでは見れなかった景色が見られて、今は自分が楽しくいれることを大切にしている」と、ポジティブな人生観を語りました。

木戸さんも、「自分がいくつになっても後悔しないように、前向きにチャレンジしていきたい。皆さんも今後の人生後悔のないように何でもチャレンジしてほしい」とエールを送っていました。

イベントの締めくくりには、監督が「1人でも多くの観客に見てもらいたい」と熱いメッセージを送ると、木戸さんも「若い方たちからの感想を楽しみにしている」と同調。
広瀬さんもまた、「大正から昭和初期の時代の中での女性の生き方や価値観を知ってもらい、少しでも良い影響を与える作品になったら嬉しい」と語ってくれました。

ストーリー

京都。まだ芽の出ない女優、長谷川泰子（広瀬すず）は、まだ学生だった中原中也（木戸大聖）と出逢った。20歳の泰子と17歳の中也。どこか虚勢を張るふたりは、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。価値観は違う。けれども、相手を尊重できる気っ風のよさが共通していた。

東京。泰子と中也が引っ越した家を、小林秀雄（岡田将生）がふいに訪れる。中也の詩人としての才能を誰よりも知る男。そして、中也も批評の達人である小林に一目置かれることを誇りに思っていた。男たちの仲睦まじい様子を目の当たりにして、泰子は複雑な気持ちになる。才気あふれるクリエイターたちにどこか置いてけぼりにされたようなさみしさ。

しかし、泰子と出逢ってしまった小林もまた彼女の魅力に気づく。本物を求める評論家は新進女優にも本物を見出した。そうして、複雑でシンプルな関係がはじまる。重ならないベクトル、刹那のすれ違い。ひとりの女が、ふたりの男に愛されること。それはアーティストたちの青春でもあった。