インテリアスタイリストの石井佳苗さんが語る、映画『アン・リー/はじまりの物語』に息づく精神「胸が締め付けられるようだった」

ライター 35-45WOMAN編集部

映画『アン・リー/はじまりの物語』トークイベント

インテリアスタイリストの石井佳苗さんが5月27日、109シネマズプレミアム新宿で行われた映画『アン・リー/はじまりの物語』トークイベントに登場しました。
当日は、雑誌の取材をきっかけに親交があるライターの小柳帝さんが司会を担当。おふたりはステージ上に用意された椅子に腰掛け、作品の魅力やその背景にあるライフスタイルについて言葉を交わしました。

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未知の生涯に驚き「胸が締め付けられるようだった」

あらかじめ本編を鑑賞していた石井さんは、最初の印象を「びっくりしました」と表現。
これまでシェーカー家具の歴史やデザインに深く触れてきたものの、その創始者であるアン・リー自身の人物像については知識がほとんどなかったと明かします。
特に、物語の中で描かれるイギリス時代の過酷な生活に対しては「胸が締め付けられるようだった」と振り返りました。
しかし、その苦しみの連続こそが、のちに彼女が理想的なコミュニティを築き上げるための原動力になったのだと納得。作品の根底にある精神に深い共感を示しました。

現代の暮らしに活きる機能美と秩序の心地よさ

石井さんは、ザ・コンランショップとともに、伝統的なデザインを現代風に再解釈した家具「アン シェーカー」シリーズの開発に携わっています。
このプロジェクトは、当時の社長であった中原慎一郎さんとの対話から始まったとのこと。
新しい家具のアイデアを練る中で、真っ先に頭に浮かんだのがシェーカー家具だったと振り返ります。
その無駄を省いた実用的な美学が、ショップの掲げる理念と響き合い、家具の名産地である福岡県大川市の広松木工との共同開発へと繋がりました。

また、昨年訪れたというアメリカの歴史的集落「ハンコックシェーカービレッジ」での滞在エピソードも紹介。
現地の農場で生まれたばかりの子豚に出会って癒やされたことや、男女で明確に分けられた寄宿舎、装飾のない白い食器が整然と並ぶ食堂の様子を、写真とともに解説しました。
さらに、室内のあらゆる壁面に設置された「ペグ・レール」の機能美に注目。
生活に使う道具を自分たちの手で作り、整えて壁に掛け、片付けるという日々の積み重ねが、暮らしそのものの美しさを生み出しているのだと説明します。
情報が溢れかえっている現代社会だからこそ、こうした規律ある合理的な生き方が多くの人々の憧れを集める理由なのではないかと語りました。

細部へのこだわりが光る映画の見どころと特別展示

トークの締めくくりに、石井さんはこれから映画を鑑賞する人々に向けて見どころを伝えます。
「アンの強さと情熱に驚き、心を動かされるはず。また、美術や衣装にも注目してほしい」と語り、当時の背景に合わせて草木染めや手縫いで仕上げられた衣装のこだわりを紹介。
登場人物たちの背景に映り込むインテリアや生活道具に至るまで、細部まで見どころが詰まっていると解説しました。

映画『アン・リー/はじまりの物語』トークイベント

なお、同館の10階メインラウンジでは、6月18日までの期間限定で「アンシェーカー」シリーズの家具と映画の特別展示が実施されています。
劇中の世界観と共鳴するデザインを実際の家具を通して体感できる空間となっており、設置されたベンチには実際に座ることも可能です。
さらに、同館のシアター8では、映像の質感や空気感をより豊かに味わえる35mmフィルムでの上映も行われます。
映画鑑賞とともに、実際の家具を通してその美意識に触れられる貴重な機会となっています。

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