「大病を患った後の…」安田章大さん「新宿梁山泊 第79回公演『愛の乞食』『アリババ』」ゲネプロ&囲み取材に登壇
2025年6月14日から上演される、SUPER EIGHT 安田章大さん主演 新宿梁山泊 第79回公演 唐十郎初期作品連続上演『愛の乞食』『アリババ』。
初日を明日に控えた6月13日、囲み取材とゲネプロが行われ、安田さん、新宿梁山泊代表の金守珍さんらが登壇しました。
同公演は、6月14日から7月6日まで、新宿 花園神社境内 特設紫テントにて、唐十郎作品の原点ともいうべき初期作品2作を連続上演するものです。
出演は安田さんの他、水嶋カンナさん、藤田佳昭さん、二條正士さん、宮澤寿さんらが名を連ねます。
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囲み取材
2年ぶり2度目のタッグですね?
金さん:「楽しくてしょうがない!
(安田さんは)稽古場での様子がメンバー、劇団員と変わらないです。ずっとテントの作業もしてるんですよ?朝から晩まで。朝9時に来てますよ。僕より早く。昨日は色塗りまでやっていきました。
インパクト、電気ドリルを使って客席を全部、僕と2人で作りました。テント役者としての基礎を叩き込んでます(笑)」
安田さん:「学ばさせていただいてます!なので、来場くださった方は、(僕が)作った席かも、と思っていただいて。
劇団の皆様と全員で輪になって、大きな渦…ジグザクとした渦の中に入らせていただいてます」
金さん:「(安田さんが)まさかテントにね…!
去年はお祭り…大スターが来て…って感じだったのですが、(安田さんは)劇団員と変わらない…研修生の皆さんとも溶け込んで。こんなスーパーアイドルいます?」
安田さん:「大きい会場…ドームもこういう場所も、何も変わりなくって。何を届けたいのか。それは距離じゃないですよね」
金さん:「唐十郎が他界されたことによって、僕らは原点に戻って。唐さんの20代のころ、若い時の作品に戻って『誤読』していこうと。安田君のすごいところは『誤読のすすめ』が通じるってところ。
(劇中に出てくる)肩に乗ってるオウム、今まで人間でやったことないんですよ。それを安田くんのアイデアで人間でやったんです。
唐さん喜ぶと思う。『金ちゃんすごいねこれ!僕考え付かなかったよ!』って。
安田君と(会話の)キャッチボールするといっぱい返ってきて。何をキャッチしていいかわからないけど、キャッチしたものが変形して。アングラというジャンルが与えてくれた誤読のすすめ?面白いね~」
安田さん:「面白いです。
オウムは、劇団の子がやりたいって話を聞いていたので『どうですか?』って。新しいものにトライしてエラーして展開を作っていく、っていう感じですかね?」
金さん:「…やっぱり才能の塊です!」
演出でもあり役者でもあり、料理担当でもある金さんについて
安田さん:「金さんって、演出という立場から、最後の最後は役者として入るんです。
みんなそれが見た過ぎて、ツラ(客席側)から見るんです。金さんがどんな芝居をするのかワクワクして。
お芝居の中のテンポ感とか、唐さんのいう『リズム』が沁みついているからか、『芝居?芝居じゃないな?なんなんだ』っていう異様なところに連れて行ってくれる。それが金さんの存在感っていうか」
金さん:「役者として蜷川(幸雄)さんに鍛えられて、そして唐さんによって開放された感じ。
その開放したものをなんとか若い皆さんに伝授して。
(蜷川さんは)『役者は一生自分の言葉を持つな。そこに悲惨と栄光がある』ってね。でも唐さんはそれを『そんなのいいから面白くしてよ。』って。自由に泳がせてくれて、泳いだ後自分の言葉に戻ってくる…」
(ずっと気になっていたんですが、その衣装は?)
金さん:「交通安全をやってる緑のおばさんです。
唐さんが『緑のおばさん役は女性は出来ない』って言ってて。これは偏見ですけど。不破万作って人がずっとやってたんです。麿赤児が最初に当て書されたみたいなんですが」
安田さん:「『昔、唐天竺に十人のつわものありき』の漢詩から、唐十郎という名前になったと本で読んだことがあるんですが、稽古の時から実感してたんですよね、頼りがいのある…。
今回も、歴史ある『芝居砦・満天星』で稽古をさせていただいて。降りていく階段のところに、アリババ公演のポスターや写真…大久保鷹さんがいらして、麿赤児さんが真ん中にいらして、李 麗仙さんがいらして‥っていうのがたくさんはってあって」
金さん:「井出情児さんがとってくれた写真ですね。唐さんの追悼の時にいただいて。それを飾りながら」
(パトカーのサイレンなどが鳴りっぱなしという場所ですが、どうですか?)
金さん:「それも取り入れてね。それに負けないお芝居をしてます」
安田さん:「そうです。ありがたい場所で。
僕たちはたまたまこういう場所に生きさせていただいているだけで、世の中には他にも色んな生き物が生きてますから、すべてが演出効果だと思ってます」
金さん:「安田君の(生きる)エネルギーがすごくて。
聞けば、鹿とか熊の肉を夜食べていると、で、差し入れしてくれてね。(だから)うちの人間たちも体力あふれてますよ。ギンギンに。差し入れ半端なかったよね」
安田さん:「熊の肉塊をそのまま渡しました」
金さん:「卵200個とか餃子200個とかも」
安田さん:「みなさんお腹空いてるんでね」
金さん:「僕が料理します。昼夜稽古じゃないですか、その間20?30人分くらい、炊き出ししてやってます。演出をやりながら、その途中、(料理のための)スイッチ入れに行ったりして。お米も20合とか炊いて。
美味しかったね~。熊があんなに美味しいとは思わなかった。安田さん、ほんと、ご馳走様でした!やっぱ旨いもん食べてますね」
最後に
安田さん:「唐さんが喜んでもらえることがまず第一。
それをどれだけ誤読して、どれだけ世間の皆様から賛否両論をもらえるか、というところがポイントかなと思っています。
アイドルがアングラの世界に足を突っ込むそのことでどんな変化が起こって、ぐるぐる回り始めて、世間がどのようににぎわってくれるのか。
60年代70年代、学生運動の中で、渦巻く渦巻く渦巻く…と色んな事が起きていた時代、そういうエネルギーを令和にもう1度呼び戻せたらなとも思っています。
あとは、劇団のみんながいますので、平常心というか、ドシっとした状態でいます。それをステージの上から届けたいと思います」
金さん:「唐さんの初期の作品がこんなに面白いんだ!っていう事を改めて感じました。
純粋な唐十郎さ、その原点を探っていくという、この第一歩が安田君で良かった。最高です。
安田君の唐十郎の言葉は文学…詩の世界。ファンタジーなんだけど、毒があって怖い。きれいごとではないですね。
難しくありません!安田くんがわかりやすく解説して演技してくれてますんで!
40年近くやって、何度もやってますが、今回が最高です!自信を持ってお届けしますのでぜひ見にきてください」
安田さん:「唐十郎さんの戯曲だからこそ、新宿梁山泊さんのステージだからこそ、自分が発揮できる、自分の肉体を使った表現の仕方…、大病を患った後の表現の仕方…。
サードステージ、サードライフに入った自分の生き方を投影しながら、唐十郎さんの戯曲の輪っかと自分の人生の輪っかをリンクさせて、そこに挟まっている間のところの色をより濃くできるのか、皆様と一緒に作っていけたらなと思っています。
僕が出てる公演だけでなく、ぜひ足を運んでください。この演劇は観るのではなく体験だと思います。ありがとうございました!」
ゲネプロ
新宿・花園神社の境内に現れた、紫色のテント。
6月13日一般公開に先駆けて行われたゲネプロにて、主演の安田さん、そして演出の金守珍さんらが、唐作品の“原点”とも言える濃密な言語と身体の応酬を、テントという特異な空間で炸裂させました。
『アリババ』では、日雇い労働の宿六とその妻・貧子の貧困と幻想が交錯。すべてを奪われながらもなお夢を見る者たちの叫びが、テントの骨組みを震わせます。
そして『愛の乞食』へ…。物語は循環を始め、唐十郎が描いた愛と記憶の亡霊たちが、紫テントの中で密やかに息づきます。
安田さんは、壊れかけた世界の中で傷つきながらも何かを待ち続ける“誰か”を、凛とした佇まいで演じ切りました。狂気と純粋の境界を滲ませる演技は、かつて同作品に衝撃を受けた世代の観客にも、新鮮な驚きを与えるに違いありません。
幻想と現実が交差し、ぐるぐると交じり合う…“2本で1本”とも言える本公演。
生でしか味わえない不思議な熱、観る者の記憶にゆっくりと沈殿していくような、忘れがたい時間がそこにはありました。
新宿梁山泊とは
新宿梁山泊とは、蜷川スタジオを経て、唐十郎主宰「状況劇場」で役者として活躍した金守珍が1987年に創立した劇団。
中国の小説「水滸伝」に由来する劇団名を掲げ、その名の通り多方面で活躍中の演劇人が集結した劇団である。
日本の演劇界に失われつつある「物語(ロマン)の復権」を求めて、また、「アングラ演劇」を現代日本を代表する「文化」として継承し、世界へこれを発信していきたいという理念を基に、国内外で積極的な活動を続けている。
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